「ラウール」バルワトマト
さてさて、頻繁にお世話になっているインドカレー屋さん「ラウール」
着席、メニューを開くなり、目についたのは、「New メニュー」の文字。「バルワ・トマト」??
インドカレー屋さんはよく行く方ではありますが、聞いたことのないメニュー。

トマトの中にドライフルーツ、じゃがいも、玉ねぎ、、、?カレーに甘いドライフルーツという組み合わせ、少なからず日本ではお目にかからないこの組み合わせ。
『夜限定』
『新作』
『いつもよりspecialなカレー』
キャッチーな言葉に浮かされて、注文してしまいました。



ココナッツのほんのりとした甘さ、そして、程よく効いたジンジャーがカレー全体の味を引き締めています。カレーに姿を隠した煮込みトマトの成分が染み出し、ハヤシライスカレーのようなトマト強めの美味しさも感じます。
そして、ここラウールのナンは他のお店とは別格なのです。通常もちもち、ふわふわのナンですが、ラウールのナンは外はパリパリ、中はもちもちの「外パリ中もち」ナンなのです!
この「外パリ中もち」ナンとほんのり甘めのバルワトマトが非常によく合います!!
甘じょっぱいカレー
例えるなら、こたつでぬくぬくしながらいただく「きな粉餅」、
北海道グルメならば「いももち」のような味わい。
ぜひみなさんも、食べてみてください〜
バルワ・トマトってどんな料理?
ところで、バルワ・トマトってどんな料理なのでしょうか?
「Bharwa」はヒンディー語で“詰める”という意味。
そう、バルワ・トマトは、“詰め物トマト”のこと。
中身は、スパイスで炒めたパニール(インドのチーズ)やポテト、カシューナッツ、干しぶどうなどをトマトの中に詰めて、グレービー(カレーソース)で優しく煮込んだ料理です。北インドの家庭では、来客時やお祝いの食卓によく登場するようですよ。
🕰️ いつ食べるの? 〜“おもてなし”の定番〜
実はこのカレー、インドの日常の食卓にはあまり並びません。
というのも、これが非常に手間がかかるんです。
トマトをくり抜いて具を詰め、スパイスを何層にも重ねて煮込む
まさに「特別な日のごちそう」
例えば、こんなタイミングで登場します👇
- 🍛 ディワリ(Diwali)やホーリーなどの祝祭日
- 🥂 親戚や友人をもてなすホームパーティー
- 💍 結婚前の食事会(Sagai)
- 👩🍳 ベジタリアン家庭の“ごちそうディナー”
肉を使わずにリッチな味わいが出せるため、ヒンドゥー教徒の家庭ではベジでも贅沢できる日”のごちそうとして重宝されています。
バルワトマトの歴史
バルワトマトの起源は、ムガル帝国時代(16〜17世紀)にまで遡ります。
ムガル料理(Mughlai cuisine)は、ペルシア料理や中央アジアの影響を強く受けており、「詰め物料理(Bharwan dishes)」が多く存在しました。
当時は肉やナッツ、ドライフルーツを野菜や果物の中に詰めて焼いたり煮込んだりする“王侯貴族のご馳走”が主流。それが徐々に北インドのパンジャーブ地方やウッタル・プラデーシュに伝わり、トマトやナスなどの野菜でアレンジされました。
つまり、バルワ・トマトは王宮料理が家庭料理へと進化した代表格なのです。
🛕 宗教との関係 〜ベジタリアン文化の象徴〜
インドでは宗教が食文化に深く関わっています。
バルワトマトは特に、ヒンドゥー教徒のベジタリアン料理として発展してきました。
ヒンドゥー教では「サットヴィック(Sattvic)」と呼ばれる“心と体を清める食事”が重視されます。肉や魚、卵を使わず、野菜・乳製品・ナッツ・スパイスで調理された料理が理想とされています。
バルワトマトは、
- パニール(乳製品)
- トマト(酸味)
- カシューナッツ・レーズン
と、サットヴィック料理の要素をすべて満たしており、「祈りの後の食卓」にふさわしい料理とされてきました。
紹介店舗
—— ラウール ———-
〇営業時間
・平日、日曜 : 11:00-15:00、17:00-22:00 (土曜定休)
〇住所
〒260-0856 千葉県千葉市中央区猪鼻1-1 1713


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