鯨のお刺身

6月なのに猛暑?梅雨を通り越し、夏に行ってしまったかのような天候ですね。体調管理にはくれぐれも注意しないといけませんね。

こういう時は、食べ物から英気を養うのが良いかもしれません。そこで今回提案するのが、鯨のお刺身です。お口にしたことはありますでしょうか?今回は館山で立ち寄った「鮮魚まる勇」でいただいた鯨を特集します。

看板には「鯨の刺身」と。これまで鯨を口にしたことがない私の興味が釘つけになりました。しかしお店内を覗いてみると、「鯨の刺身」以外にも、「鯨のたれ」なるものがあります。こちらも気になりますね。

未だ鯨を口にしたことがない私は、今回お刺身をいただくことにしました。

鯨のお刺身のお味

こちらが鯨のお刺身です(綺麗な写真でないことお許しください。)

血あいが多く、臭みが強いのかなと恐る恐る口に入れてみました。

臭みが全くない!そしてとろとろ濃厚。その後に広がるほのかな旨みに口の中が満たされます。

馬刺しとマグロを足して割ったような味わいと表現されるのもよくわかります。

なるほど、鯨のお刺身はこんなにも美味しいのですね。

鯨のお刺身はヘルシー

鯨肉は良質なタンパク質が豊富で、脂質が少なくとってもヘルシー (表1)。アスリートのトレーニングプログラムに組み込まれることもあるそうです。

さらに、鯨肉の特筆すべきポイントの一つが「バレニン」という特有のアミノ酸の含有量です。

「バレニン」には抗疲労作用の報告されているよ1。クジラが何千キロもの距離を不眠不休で泳ぎ続けるためのパワーの源となっているのかもしれないね。

食肉の種類タンパク質 (g)脂質 (g)カロリー (kcal)バレニン (mg)
鯨赤肉(ミンク)23-240.4-31061,262 – 1,874 38
牛肉(赤身)2110182ごく微量
豚肉(赤身)227157ごく微量
鶏むね肉(皮なし)231.9108ごく微量
表1, 栄養成分の比較

このようなことから、鯨肉は現代のスーパーフードと称されることもあるようです。

ここまで紹介した鯨のお刺身はニタリクジラの赤味肉のお刺身です。ニタリクジラとは、ミンククジラやイワシクジラと同じ「ヒゲクジラ」の仲間で、鯨の中でも血あいが少なく刺身として非常に高く評価されている鯨種の一つです

南房総の主役はツチクジラ

一方で千葉県南房総の鯨の主役はツチクジラです。千葉県南房総市和田浦におけるツチクジラ漁のシーズンは、夏の到来を告げる6月下旬に始まり、8月から9月にかけて続きます。

血あいの多いツチクジラはお刺身には適さないとされていますが、このツチクジラを上手く活用したのが千葉県の郷土料理「くじらのたれ」です。「くじらのたれ」とは、鯨肉をタレに漬け込んで干したことが名前の由来で、いわば干し肉になります。

このような干し肉に適したツチクジラの漁もとってもユニークです。

捕獲された後、すぐには陸揚げせず、海中で約18時間留め置かれるのです。これは、死後硬直を解き、肉を柔らかくするための「熟成」プロセスに不可欠だそうです。

これからまさにこのツチクジラの漁が始まります。今年とれたての鯨を使用した鯨のタレが市場に出回るのは7月ごろとされています。

お店に並んでいたのもこの「鯨のタレ」だったのですね!是非とも、次のお楽しみにしようと思います。

鯨のタレは保存食なので、年中を通して販売しているので焦らず、時間のある時にみなさんもぜひ口にしてみてください。

参考文献

1, 杉野・安永・福田,鯨肉抽出物の身体作業負荷および日常作業による疲労に対する軽減効果,薬理と治療,41号9巻(2013年9月掲載)

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