以前、紹介した藁苞納豆の一つ、三浦商店「わらっ子 田舎造り納豆」では伝統的な藁苞を用いた納豆の発酵プロセスにより、複雑かつす〜っと素直な大豆の味わい、引き締まった大豆の食感を楽しむことができました。
スーパーで購入できる納豆はプラスチック容器のものが一般的ですよね。一方でお出かけの際に立ち寄る道の駅では、藁苞納豆や経木納豆を見かけることはないでしょうか。このように、納豆は私たちが知っている以上に、種類、歴史がありそうです。
今回はそんな納豆製造法の歴史をみていきましょう。
納豆の歴史〜藁苞納豆、経木納豆、近代納豆までの道のり〜
1, 納豆誕生〜大豆と稲藁の運命的な出会い〜
納豆とは大豆が納豆菌による発酵を受けて生み出される食べ物であり、およそ40度、24時間ほど発酵が進むことで納豆ができあがります。この時の発酵プロセスの初期の容器の役割を担ったのが藁苞でありました。藁苞を用いた発酵の誕生には二つの説があります。
弥生時代説
大豆の栽培が普及し、竪穴式住居の床に稲藁が敷かれていたとされる弥生時代は、納豆誕生の「自然実験室」ともいえる環境でした。暖かく湿度の高い住居内で、床の藁の上にこぼれた煮豆が自然発酵し、納豆が偶然発見されたとする説です。
運搬途上説
聖徳太子(600年頃)、源義家(八幡太郎、1083年頃)、加藤清正(16世紀)といった人物に結びつけられた伝説もあります。これらの物語に共通するのは、煮豆を藁や俵といった藁製の容器で保存・運搬した際に、馬の体温などで保温され、結果として発酵したという筋書です。。
藁の科学
微生物の生息地:
稲藁は、納豆菌が属する枯草菌(Bacillus subtilis)群の主要な自然生息環境である1。一本の稲藁には、約1,000万個もの納豆菌が芽胞(がほう)の状態で付着しているとされる1。
生物反応器(バイオリアクター):
藁を編んで作られた苞の構造は、理想的な微小環境を創出する。適度な保温性を保ち、納豆菌(好気性菌)の増殖に必要な酸素の交換を可能にし、さらに余分な水分を吸収して豆が水っぽくなるのを防ぎ、しっかりとした食感と凝縮された風味の発達を促進します2。
参考文献
1, 納豆まめ知識|納豆の豆知識 – ミツカングループ https://www.mizkan.co.jp/natto-information/mame/
2, 菌類最強!?納豆をつくる「納豆菌」が強すぎる理由をサクッと解説 – QuizKnock, https://web.quizknock.com/natto-power
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